ひでよしのおはなし

大学生がどうしてもしたい話をするだけです。

「彼方のアストラ」は「ナデシコ」「マジェプリ」が好きな人に読んでほしい

人には、誰しも好きな作品の特徴というものがある。うら若き少年少女がデスゲームを繰り広げるような作品が好きな人もいれば、甘酸っぱい高校生男女の青春を描いた作品が好きな人もいる。

私の場合は「根幹の設定はかなり重く暗いながらも、主人公たちの明るさと熱さでコミカルにストーリーが描かれる作品」がそれに当てはまる。このような特徴を持った作品の中で特に私が好きな作品が機動戦艦ナデシコ銀河機攻隊 マジェスティックプリンスだ。

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この二作品は、どちらも基本的にはコミカル路線のロボットアニメである。しかし、両作品ともに本編の開始時点で地球は壊滅の危機に瀕しており、その状況を打開するために主人公たちが活躍する。故に主人公たちは終始明るい様子を見せながら物語は進むが、物語が進むたびに主人公たちの出生の由来や登場する技術に不穏な設定が存在していることが発覚する。そのような設定を知っているからこそ、主人公たちの明るさや敵との熱い戦いにもより深みが出てくるのである。*1

 

 

そして、「彼方のアストラ」も「根幹の設定はかなり重く不穏ながらも、主人公たちの明るさと熱さでコミカルにストーリーが描かれる作品」であるといえる。

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shonenjumpplus.com

 

「彼方のアストラ」は、週刊少年ジャンプSKET DANCEを連載していた篠原健太先生が現在無料マンガアプリであるジャンプ+で連載しているSF作品である。主人公である「カナタ・ホシジマ」を始めとした少年少女が、突然謎の球体によって宇宙に漂流し、偶然見つけた宇宙船で5千光年離れた宇宙の彼方から自らの星に帰還するためにサバイバル生活を始めるというストーリーは、多くの読者に愛され、第3回次にくるマンガ大賞ではWebマンガ部門5位を獲得するなど、現在のジャンプ+の看板作品の一つになっている。

篠原健太先生は、ジャンプ本誌で「SKET DANCE」を連載していたが、「SKET DANCE」は「銀魂」の影響を強く受けている節があり、*2時々学園モノのコメディ作品にしては少し重すぎるシリアス展開が入ってくることがあり、読者の間ではシリアス展開に入るたびに賛否両論になっていた。

一方「彼方のアストラ」は、設定上かなり切羽詰まった状況のために、「SKET DANCE」では完全に受け入れられたとは言い難かったシリアスな展開が活きるようになっている。また、「SKET DANCE」時代から輝いていたコメディの要素も健在で、シリアス展開で弱った心を癒やしてくれる。なによりカナタたちが旅の中でお互いのことを知り、ぶつかり、理解しあい、真の仲間になっていく過程を見ているとこちらも胸が熱くなってくる。

そして、「彼方のアストラ」は回を重ねるごとに重大な秘密が巧妙な伏線によって明かされていく。なぜ自分たちが漂流したのか、漂流した人間の共通点は何か、なぜ宇宙船が宇宙の彼方に漂流していたのか、など多くの謎が話数を重ねるごとに解けてゆき、最終的に点と点が線でつながっていく。その秘密が明かされるたび、ただの宇宙サバイバル作品だと思っていた本作品が、「根幹の設定はかなり重く不穏ながらも、主人公たちの明るさと熱さでコミカルにストーリーが描かれる作品」に変貌していくのである。

 

「彼方のアストラ」は12月30日に49話で最終回を迎える。現在コミックスは4巻まで発売されており、4巻以降の物語もジャンプ+で読むことができるので、是非この記事を見て「彼方のアストラ」が気になった人々には、最終回までにこの作品を読んでほしい。そして、最終回で多くの人々とこの作品を読んだことによる感情を共有させてほしい。それが、この記事を書いた私の願いである。

 

 

 

 

*1:ただしこの二作品には、本編の最終回と劇場版のテンションが真逆という大きな違いがある。どちらの作品も本編、劇場版共にAmazonプライムビデオで視聴できるので、Amazonプライムビデオに登録している人は是非見てほしい。

*2:篠原健太先生は「銀魂」の作者である空知英秋先生の元アシスタントであり、「SKET DANCE」と「銀魂」のコラボが行われた際には、銀魂SKET DANCEの作風が似ていることを作品内でネタにしていたほどである。